
不動産をお持ちのオーナー様にとって、「相続」は避けて通れない重要なテーマです。
「相続税って複雑そう…」「うちは関係あるのかな?」「まだ先の話だから…」
そんな風に思っていませんか?しかし、不動産をお持ちの方こそ、早めに知っておくべきポイントがたくさんあります。この記事では、相続税の基本から実際の計算方法まで、できるだけわかりやすく解説します。
📋 この記事の内容
まずは「うちは大丈夫?」を30秒でチェック
相続税には「基礎控除」という非課税枠があります。全ての財産を合計してもこの金額以下なら、相続税はかかりません。
基礎控除の計算式
3,000万円 + 600万円 × 相続人の数
家族構成別の基礎控除額(早見表)
家族構成 | 相続人の数 | 基礎控除額 |
---|---|---|
配偶者と子ども1人 | 2人 | 4,200万円 |
配偶者と子ども2人 | 3人 | 4,800万円 |
配偶者と子ども3人 | 4人 | 5,400万円 |
子ども2人のみ(配偶者なし) | 2人 | 4,200万円 |
簡単チェック
例えば、配偶者と子ども2人がいる場合、全財産が4,800万円以下なら相続税はかかりません。それを超える場合は、相続について考える必要があります。
そもそも相続税って何?対象となる財産は?
相続税は、亡くなった方(被相続人)が残した財産を受け継ぐ時に、その財産が一定額を超えた場合にかかる税金です。
相続税がかかる主な財産
- 不動産:土地、建物(自宅、賃貸アパート・マンションなど)
- 金融資産:現金、預貯金、株式、投資信託
- 保険関連:生命保険金(一定額を超える部分)
- その他:自動車、貴金属、美術品など
つまり、不動産をお持ちの方は「うちには現金がそんなにないから大丈夫」と思っていても、実は相続税の対象になる可能性があるのです。
不動産があると相続税はどうなる?
不動産オーナー様に知っていただきたいのは、**「不動産は現金よりも相続税が安くなることが多い」**ということです。
なぜ不動産の方が有利なの?
相続税を計算する時、不動産は「時価(実際の売買価格)」ではなく、国が決めた「相続税評価額」で計算されます。この評価額は一般的に時価より低く設定されているためです。
- 土地:一般的には時価の約80%程度(路線価などで評価)
- 建物:時価の約70%程度(固定資産税評価額で評価)
- 賃貸物件:さらに評価が下がる(他人に貸しているため)
具体例で比較
現金1億円を持っている場合
→ 相続税評価額:1億円
1億円で賃貸アパートを建てた場合
→ 相続税評価額:約6,000〜7,000万円程度
つまり、同じ1億円でも不動産にした方が相続税は安くなる可能性があります。
相続税の計算方法を5ステップで理解しよう
相続税の計算は複雑ですが、大まかな流れを知っておくと安心です。
STEP 1:遺産総額を把握する
不動産、現金、株式など全ての財産を合計します。
※不動産は「相続税評価額」で計算されるため、実勢価格とは異なります。
STEP 2:基礎控除を差し引く
遺産総額から基礎控除額を差し引きます。
STEP 3:法定相続分で仮分割する
計算上、法定相続分(配偶者1/2、子どもそれぞれ1/4など)で分けたと仮定します。
STEP 4:税率を適用して計算する
各相続分に累進税率をかけます。
相続税の税率表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
STEP 5:各種控除を適用する
配偶者控除などで税額を軽減します。
実際の計算例でイメージしてみよう
【条件】
相続人:配偶者+子2人(合計3人)
遺産総額:1億2,000万円(土地6,000万円、建物2,000万円、預貯金4,000万円)
【計算】
基礎控除
3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
課税対象額
1億2,000万円 − 4,800万円 = 7,200万円
法定相続分による仮分割
配偶者:1/2 → 3,600万円
子どもA:1/4 → 1,800万円
子どもB:1/4 → 1,800万円
税額の計算
配偶者:3,600万円 × 20% − 200万円 = 520万円
※ただし、配偶者控除により実質ゼロになることが多い
子どもA・B:各1,800万円 × 15% − 50万円 = 220万円 × 2人 = 440万円
合計税額(概算)
配偶者:軽減適用で0円、子ども2人で合計約440万円
こんなケースは要注意!
以下のような状況の不動産オーナー様は、一度相続税について確認されることをお勧めします。
- 都市部に土地・建物を複数お持ちの方
- 賃貸アパート・マンションをお持ちの方
- 相続人が少ない(基礎控除が小さい)方
- ここ数年で不動産価格が上がっている地域の方
- 現金・預金もある程度お持ちの方
「うちは大丈夫」と思っていても…
不動産価格の上昇や、思っていたより評価額が高かったということもあります。「まさか」に備えて、一度確認しておくと安心です。
もし相続税がかかりそうなら?主な対策・特例
基礎控除を超えそうな場合でも、慌てる必要はありません。様々な対策や軽減措置があります。
主な軽減措置・特例
- 配偶者控除:配偶者は1億6,000万円または法定相続分のいずれか大きい方まで相続税がかからない(ただし、この特例を受けるには相続税の申告が必要です)
- 小規模宅地の特例:自宅の土地は最大80%評価が下がる
- 生前贈与:毎年少しずつ財産を移していく
- 不動産活用:賃貸物件の建築など
ただし、これらの制度には細かい要件があり、使い方によっては逆効果になることも。必ず専門家にご相談ください。
重要な期限:相続税の手続きはいつまで?
相続税の申告・納税は、相続開始から10ヶ月以内に行う必要があります。
この期限は法律で決まっており、基本的に延長はできません。
この期間は意外と短く、財産の調査や評価、遺産分割の話し合いなどを行っているとあっという間に過ぎてしまいます。早めの準備と相談が大切です。
こんな時は申告が必要
- 財産総額が基礎控除を超える場合
- 配偶者控除や小規模宅地の特例を使う場合(税額が0円でも申告が必要です)
不動産相続の基本ステップ
不動産が絡む相続は、次のような流れになります。
① 誰が相続人かを確認する
相続人には法定相続人というルールがあります。
基本的には配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹など、順位が定められています。
例
配偶者と子がいる場合はこの2者が相続人
② 遺産の内容と評価を把握する
不動産の価値(相続税評価額)を調べる必要があります。
このとき使うのが、路線価(市街地)、固定資産税評価額(地方部)などです。
💡実勢価格とは異なるため、ここを勘違いすると相続税の試算が大きくズレます。
③ 遺産分割協議を行う
誰がどの財産を相続するかを相続人同士で話し合います。
不動産は分けにくい財産の代表格。だからトラブルが起こりやすいのです。
例
長男が実家をもらう代わりに、次男には現金を多めに分ける
不動産を共有名義にする(あとで揉めがち)
④ 相続登記を行う(義務化されました!)
2024年4月から、不動産を相続したら3年以内に登記申請が義務化されました。
怠ると罰金(過料)が科されることも。
⑤ 相続税の申告・納付(必要な場合)
相続税は「すべての人が支払うわけではない」ですが、基礎控除を超えると課税対象になります。
計算式
3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)=基礎控除額
例
相続人が配偶者+子2人=3人の場合
→ 基礎控除は 3,000万+600万×3=4,800万円
この金額を超える財産があるなら、相続税の申告・納付が必要です(原則10か月以内)。
不動産相続が大変になりやすい理由とは?
不動産の相続が厄介だと言われる理由は、次の通りです。
問題点
分割しにくい
お金と違って「分けられない」ので話し合いが難航しがち
評価がわかりにくい
相続税評価額と市場価格が違い、損得が見えづらい
管理や運営の継続が必要
空室、修繕、入居者対応など、相続後も手間が続く
古いまま放置される
誰も住まない・管理しない状態だと”空き家問題”に
だからこそ、不動産オーナー様には早めの準備と専門家への相談をお勧めしています。
【まとめ】まずは「知る」ことから始めましょう
相続税は確かに複雑な制度ですが、まずは「自分の家族の場合はどうなのか」を知ることが第一歩です。
大切なポイント
- 基礎控除額と自分の財産を比較してみる
- 不動産がある場合は、おおよその評価額を把握する
- 心配な場合は早めに専門家に相談する
- 家族で相続について話し合っておく
- 相続登記の義務化など、制度の変更にも注意を払う
「うちには関係ない」と思っていても、不動産価格の変動や制度の変更で状況が変わることもあります。定期的にチェックしておくと安心ですね。
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